山岡荘八の歴史小説
山岡荘八の歴史小説
山岡荘八の歴史小説が好きだ。
日本戦国時代の英雄小説と言えば、山岡荘八である。
彼の小説には、司馬遼太郎ほどの歴史観こそ無いが、史実を元にわかり易く、面白く、書かれている。
あなたが戦国ロマンを感じたいのなら、山岡荘八の歴史小説をぜひお薦めする。
それでは以下に、僕の感想メモを記す。
著者紹介:
明治40年1月11日、新潟県小出町に生まれる。
本名・山内庄蔵、のち結婚し藤野姓に。
高等小学校を中退して上京、逓信官吏養成所に学んだ。
17歳で印刷製本業を始め、昭和8年「大衆倶楽部」を創刊し編集長に。
山岡荘八の筆名は同誌に発表した作品からである。
13年、時代小説『約束』がサンデー毎日大衆文芸に入選、傾倒していた長谷川伸の新鷹会に加わった。
太平洋戦争中は従軍作家として各戦線を転戦。
戦後、17年の歳月を費した大河小説『徳川家康』は、空前の″家康ブーム″をまきおこした。
以来、歴史小説を中心に幅広い活躍をしめし、53年9月30日没した。
従四位勲二等瑞宝章叙勲。
織田信長〈1 無門三略の巻〉 講談社
織田信長〈2 桶狭間の巻〉 講談社
織田信長〈3 侵略怒涛の巻〉 講談社
織田信長〈4 天下布武の巻〉 講談社
織田信長〈5 本能寺の巻〉 講談社
お薦め度 ★★★★★★★★☆☆
内容紹介
尾張のうつけ者といわれた吉法師(信長)。
家督を継ぎ、弱小織田家を結束、尾張・美濃統一を果たし、天下統一目前にして本能寺の変で討たれるまで常に戦い続けた戦国革命児の生涯を描いた作品。
以下、各巻の概要。
【第1巻】
吉法師(信長)は、奔放奇抜な振るまいで家中のひんしゅくを買う"うつけ者"。
だが、燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らん。
手始めは尾張織田の統一だ。
美濃の梟雄斎藤道三から娘の濃姫を娶った信長は、アンチ信長派の旗印となっている弟の殺害を決意した。
戦国の世に彗星のごとく出現した驕児の若き日々。
【第2巻】
天下を狙う駿府の今川義元は、遂に総力をあげて美々しく上洛の旅についた。
尾張など眼中にない。
抵抗すればもみ潰せ。
屈服か、滅亡覚悟の抗戦か。
信長は秘策を胸に動じない。
だが義元が桶狭間に入ったと聞くや、者ども続け、と飛び出した。
折から暴風雨襲来。
天は、革命児・信長に味方した。
【第3巻】
今川義元を討った信長の武名は、いちやく天下に轟いたが、諸国はまだ彼の天下統一の野望までは知らない。
三河の松平元康(徳川家康)と同盟を結んだ信長は、戦国武将として始めて入洛。
堺では大量の鉄砲を仕入れ、次なる敵への配備を固めた。
それは美濃稲葉山の斎藤龍興。
不落を誇るこの城の攻略法は?
【第4巻】
朝倉義景攻めで越前に入った織田・徳川連合軍の背後で、浅井長政が叛いた。
妹婿を信じた不覚。
生命からがら京へ戻った信長は、ついに叡山の焼打ち、皆殺しに踏みきった。
これが武田信玄の上洛を促す。
その途上での信玄の突然の死。
四面楚歌の中で雄叫びを続けていた信長は救われた。
次は長政を討つ!
【第5巻】
信長の前途は明るい。
叡山、本願寺の焼打ちで仏敵の汚名は着ても、立ちふさがる敵は、武田勝頼、中国毛利、そして上杉謙信のみ。
その謙信が死ぬ。
長篠の合戦で武田軍を追い散らした信長の天下統一は目前。
だが―明智光秀、本能寺に主君を弑する。
時代を先駆けた不世出の天才は笑って死んだ。
完結篇。
メモ
おそらく日本で一番有名な戦国武将であろう、織田信長。
この本を読むと、彼の人生がまさに激動の中心となっていたことが分かる。
特に、尾張地方統一までに多くのページを割いているところに、勢力拡大は最初の段階がもっとも大変なのではないか、と考えさせられた。
全5巻と手ごろな量なので、山岡荘八の小説を最初に読む人に、特にお薦め。
毛利元就〈1〉 講談社
毛利元就〈2〉 講談社
お薦め度 ★★★★★★★★★☆
内容紹介
大国に挟まれた小国毛利家に生まれた元就。
稀代の智謀を武器に、中国地方10カ国を統一するまでに至った男の生き様を描く作品。
以下、各巻の概要。
【第1巻】
応仁の乱から三十年。
世はまさに乱世。
中国地方もまた、山口に大内義興が前将軍足利義尹を擁して上洛をねらい、出雲には老虎尼子経久が牙を光らせていた。
その二大勢力の間に揺れる小国安芸の毛利家に生まれた元就。
かりそめの平和は父弘元の死で終止符を打たれた。
十歳のみなし児城主の軍命は…。
【第2巻】
尼子六万の大軍が吉田郡山城を囲む。
対する毛利元就の総勢はわずか七千。
長子隆元を人質としてまで頼った大内義隆からの援軍もなく、城を枕に討死覚悟の将士に元就は自信に満ちた声で告げる。
「この戦、勝った!」。
元就のあざやかな智略…。
だが皮肉にも、その勝利が、元就をいっそうの苦難へ追いこんでいく。
メモ
僕は毛利元就が大好きだ。
小国のみなし児城主であった元就。
幼年時よりの苦労は、やがて稀代の智謀を発揮し、なんと中国地方10カ国を統一するのだ。
この2冊には、元就の理念・理想が流れている。
とってもお薦めの小説だ。
伊達政宗 (1) 講談社
伊達政宗 (2) 講談社
伊達政宗 (3) 講談社
伊達政宗 (4) 講談社
伊達政宗 (5) 講談社
伊達政宗 (6) 講談社
伊達政宗 (7) 講談社
伊達政宗 (8) 講談社
お薦め度 ★★★★★★★★☆☆
内容紹介
日本の中心では既に戦国時代は終焉へと向かっていた。
そんな時代に奥羽で頭角を現した伊達政宗。
機転を利かして己の野望を豊臣・徳川政権に隠しつつ、いつかは天下を獲ってやると目論んだ男の生き様を描く作品。
以下、各巻の概要。
【第1巻】
永禄10年(1567)、伊達政宗は奥羽米沢城に呱々(ここ)の声をあげた。
時は戦国、とはいえ、一代の英雄織田信長によって、戦国も終熄(しゅうそく)に向かい始めていた。
しかし、ここ奥羽はこの時期こそ、まさに戦国動乱のさなかだった。
激動の時代を生きた英傑独眼竜政宗、その生涯の幕開けである――。
【第2巻】
政宗を万海上人の生まれかわりとする期待が大きければ大きいほど、その反動もまた大きい。
生家と伊達家の滅亡をおそれ、ひそかに政宗殺害を企てる実の母と実の弟の、肉親ゆえにこそ激しく厳しい愛憎の渦巻。
だが、この試練を乗りこえなければ人間政宗の成長はなかった。
政宗は涙をのんで弟を斬る!
【第3巻】
血がたぎるほどの叛骨魂を秘めながら、豊臣秀吉という悍場(かんば)を操って、さまざまな危機を脱した政宗。
だが、その眼前に、こんどこそ尋常一様ではおさまりそうにない事態が起きた。
関白秀次と結んで企てたという謀叛の嫌疑!!
絶体絶命の渕に立って、政宗は、いかなる捌(さば)きでこの荒波を乗り切るのか?
【第4巻】
太閤秀吉の死後、天下はふたたび覇権争いの坩堝(るつぼ)と化した。
秀頼を擁する石田三成。
一方、豊臣恩顧の諸将まで糾合する関東勢。
戦雲は無気味な嵐を孕んで、関ヶ原へ関ヶ原へとなびき集まる。
だが、目を転ずれば、今こそ政宗にとっても、天下制霸を果たす絶好機ではないのか。
政宗の隻眼が光る!
【第5巻】
若者の気宇は大きい。
それゆえに思わぬ人生の罠に陥る。
政宗の娘婿松平忠輝は、いままさにその奈落の渕に立っている。
しかも家老に大久保長安という途方もない野心家を抱きこんでいるのだ。
忠輝と長安の野心と、それを計算しつくしたうえでの政宗の大野心!
徳川政権の裏に怪しい火花が散る…。
【第6巻】
大坂城!
この難攻不落の巨大城に、不平不満の牢人がぞくぞくと入城して、関ヶ原以来15年の泰平はいま、風前の灯の危うきに瀕している。
「時こそ今!」は、ひとり大坂方だけの掛け声ではない。
戦国の猛者(もさ)なら一度は抱いた野望だ。
わが独眼竜政宗の胸中にも、ふたたび天下取りの野心が焔(ほむら)を上げ始めた。
【第7巻】
大坂冬の陣につづく夏の陣。
もはや勝敗の目は、はっきり関東ときまっても、なお流される血また血。
そして、エスパニア艦隊の来援はないままに、ついに豊臣は滅びる。
このとき演じた徳川家康の愁嘆はなんだったのか。
その姿を目撃したとき、政宗のなかに何かが芽生えた。
そこに人生勝負の窮極があった!
【第8巻】
巨星家康の死後、徳川幕府は着々と基盤を固め、三代家光の時代には確固不動となった。
そして、口実を設けては外様大名の取り潰しを策し始める。
伊達家だとてその対象の例外ではない。
しかし、天下の副将軍政宗は、あらゆる危機を切り抜けて、伊達62万石の安泰を確立する。
独眼竜政宗の生涯、完結編。
メモ
伊達政宗は、戦国武将の中で最も切れのある武将ではなかろうか。
この作品に出てくる彼の機転は、手品のトリックのようなところがある。
それにしても、この世に生を受けるのが遅すぎたか。
あと30年早く生まれていれば、本当に天下を獲っていたかもしれない。
運命、を感じる作品である。