司馬遼太郎の歴史小説
司馬遼太郎の歴史小説
司馬遼太郎の小説が好きだ。
彼の小説は、通常の小説に属するものと、歴史小説に属するもの、の2種類がある。
前者は「梟の城」に代表される忍者ものであり、後者は「竜馬がゆく」に代表される歴史ものである。
僕は歴史ものから読み始めた。
その内に忍者ものも読むようになった。
両方ともにとっても面白い。
司馬遼太郎の小説は、アツい。
主人公が、どんなことを考え、どんな野望を持って、世に出てきたのかがよく感じられる。
また、男女の機微もよく表現されており、ところどころに出てくる小説的な小話も巧い。
これら男女の機微や小話は、小説の本題に花を添えてくれるし、読者が楽しみながら小説を読み進められる。
これは一つの司馬文学の大きな特徴だろう。
たまに、歴史小説は漢字が多くて難しそうだから読む気にならない、という方がいるが、最初の20ページをがんばって読んでみよう、という気構えが大切だと思う。
最初だけちょっとがんばって読んでみれば、あとは物語に引き込まれてどんどんと読めてしまうのだ。
僕も、小さい頃は本が嫌いだった。
でも、がんばって最初の20ページだけ我慢して読むようにしたら・・・、どんどん引き込まれて、今では小説が大好きな人間になってしまった。
また、歴史小説を読むにあたっては、特に予備知識は必要としないので、その点は安心して手を出していただけたらいいなと思う。
だんだんと、あなたも歴史小説が好きになってゆくだろう。
僕は、司馬遼太郎の小説が好きだ。
あなたに司馬遼太郎の小説を読んでみて欲しいと思っている。
そのために、ここに、僕が司馬遼太郎の小説を読んで感じたアツい想いを、メモにして置こうと思う。
数多く読んだ中でも、特にお薦めの逸品だ。
このメモを読んで、少しでも司馬遼太郎の小説に興味をもってもらえたら、嬉しい。
そして、興味をもってもらえたら、本屋でぱらぱらとページをめくってみてほしい。
歴史小説を読むという新たな楽しみが出来ると思う。
著者紹介:
1923‐1996。
大阪市生れ。
大阪外語学校蒙古語科卒。
産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。
以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。
1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。
1993(平成5)年には文化勲章を受章。
“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、1971年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。
享年72。
竜馬がゆく〈1〉 文春文庫
竜馬がゆく〈2〉 文春文庫
竜馬がゆく〈3〉 文春文庫
竜馬がゆく〈4〉 文春文庫
竜馬がゆく〈5〉 文春文庫
竜馬がゆく〈6〉 文春文庫
竜馬がゆく〈7〉 文春文庫
竜馬がゆく〈8〉 文春文庫
お薦め度 ★★★★★★★★★★
内容紹介
幕末に土佐から身を起こし、海援隊結成、薩長連合、そして大政奉還を成し遂げた坂本竜馬の人生を描く、司馬遼太郎の代表作。
メモ
司馬遼太郎の代表作とも言われる、幕末最高傑作。
作品は長いが、長さがまったく気にならない程にのめり込む面白さがある。
この国をこうしたいという、自分の夢を常に持ち続け、夢に向かってただひたすらと行動し続ける姿は、僕に大きな勇気を与えてくれた。
読後感も最高だ。
一つ注目すべき点は、竜馬がWin-Winの関係を常に考え、自らの願望を成し遂げる方策を見つけていったという点だ。
特に、経済面から両者を融和させるという発想は、幕末の時代では他の志士には無い点だったのではないかと思う。
海援隊結成、薩長連合、そして大政奉還を成し遂げる坂本龍馬の生涯を、土佐藩時代から暗殺されるまで見事に描ききっている。
現代でも英雄と言われる坂本竜馬が好きになる作品。
坂の上の雲〈1〉 文春文庫
坂の上の雲〈2〉 文春文庫
坂の上の雲〈3〉 文春文庫
坂の上の雲〈4〉 文春文庫
坂の上の雲〈5〉 文春文庫
坂の上の雲〈6〉 文春文庫
坂の上の雲〈7〉 文春文庫
坂の上の雲〈8〉 文春文庫
お薦め度 ★★★★★★★★★☆
内容紹介
強国ロシアのアジア侵略に対して、清と朝鮮の独立を保たなければ、いずれ日本にもロシアの侵略が押し寄せてくる。
朝鮮の支配を巡る日清戦争から、国家の存亡を賭けた日露戦争を、軍人秋山兄弟と、正岡子規という3人の人間を通じて描く大作。
メモ
明治初期の司馬遼太郎の最高傑作であろう。
物語は、秋山兄弟と正岡子規を交互に描きつつ、日露戦争に突入する。
とっても面白い。
時間が経つのを忘れて読んでいた。
一つ注目すべき点は、日本海軍と陸軍の組織編制の違いである。
海軍は能力重視の体制に変革できたのに対し、陸軍は派閥及び年功序列体制が跋扈していた。
その差が、ロシアとの戦いの中で出てくる。
現代の会社組織の形成にも教訓となる要素があると思った。
播磨灘物語〈1〉 講談社
播磨灘物語〈2〉 講談社
播磨灘物語〈3〉 講談社
播磨灘物語〈4〉 講談社
お薦め度 ★★★★★★★★★☆
内容紹介
豊臣秀吉の軍師として才を奮った姫路の黒田官兵衛の物語。
その智謀、天下一ともいわれ、秀吉の天下統一に大いに貢献した。
晩年は髪を下ろし「如水」と名乗った。
メモ
僕は黒田官兵衛が大好きだ。
その智謀、才をもってすれば、自分で天下を獲ることができたかもしれない逸材である。
秀吉は官兵衛と上手く協力しつつも、その才を恐れた。
姫路近辺の当時の様子もふんだんに描かれており、楽しい作品である。
燃えよ剣 (上巻) 新潮社
燃えよ剣 (下巻) 新潮社
お薦め度 ★★★★★★★★★★
内容紹介
幕末の激動期、類のない苛烈な軍事集団「新選組」を作り上げて世を震撼させ、幕府に殉じて壮絶な生涯を生きぬいた新撰組副長・土方歳三を描く。
メモ
この小説は、僕が読んだ初めての司馬遼太郎作品だ。
感想は、カッコいい!の一言に尽きる。
政治に関わらずに自らを新撰組の組織形成から統制に賭け、可愛く思えるほどの幕府護衛への強烈な忠誠心。
男とはどうあるべきか、一つの答えがここにある。
梟の城 新潮社
お薦め度 ★★★★★★★★★☆
内容紹介
織田信長による天正伊賀の乱から10年後、伊賀忍者、葛籠重蔵は隠遁生活を送っていた。
しかし、ある日かつての師匠から豊臣秀吉暗殺の依頼を受ける。
忍者としての生涯を華々しく終えることのみを考えていた重蔵は依頼を引き受け、秀吉暗殺に乗り出す。
忍者同士のアクションシーンの描写がすばらしい。
また、伊賀を捨て、武士として生きようとする風間五平が印象的。
メモ
この小説は、司馬遼太郎の忍者小説である。
直木賞受賞のデビュー作だ。
歴史もので頭が疲れた、という人には絶好だ。
映画でいえば、「アクション&ヒューマン」という分野に属するだろう。
純粋に楽しみながら、どんどん読み進んでいける。
この小説を読むと、司馬氏が歴史小説だけでなく、優れたフィクション作家であることが分かる。
本当に楽しい小説なので、司馬氏の小説を初めて読む人にお薦めだ。
風の武士 (上) 講談社
風の武士 (下) 講談社
お薦め度 ★★★★★★★★☆☆
内容紹介
幕末のある日、伊賀同心の末裔で貧乏御家人の弟・柘植信吾は異相の山伏とすれ違った。
その時、何気なく感じた異常感――予感は的中し、信吾はたちまち幕府と紀州藩を巻き込む大秘事の渦中に引き込まれた……。
熊野の秘境の安羅井国(やすらいこく)とは?
またそこに隠された巨万の秘宝とは!?
波乱万丈の伝奇長編。
メモ
この小説も忍者ものだ。
「梟の城」同様、簡単に読めて楽しめる。
お薦め。
風神の門 (上) 新潮社
風神の門 (下) 新潮社
お薦め度 ★★★★★★★★☆☆
内容紹介
伊賀の霧隠才蔵は己の信ずるままに仕事をする。
一方甲賀の猿飛佐助は組織で仕事をする。
伊賀者と甲賀者の気質は違うが、猿飛佐助は霧隠才蔵の能力に惚れ込み、自身の仕えている真田幸村への士官を誘う。
やがて、才蔵は幸村のために働くようになるが、佐助のように命を賭して仕えるという感じではない。
才蔵たちは幸村と共に徳川家康の暗殺を企て、そのため駿府へと赴くが、そこには風魔の獅子王院が待ちかまえていた。
駿府での家康暗殺に失敗した才蔵たちは戻り次の機会をまった・・・。
メモ
この小説も忍者ものだ。
主人公が霧隠才蔵であり、猿飛佐助は準主役。
この物語には、伊賀・甲賀・風魔の3大忍者が登場し、互いに交錯する。
それぞれの特徴が詳細にわたって描かれており、とても楽しめる。
アクションシーンも素晴らしい。
そして何といっても、徳川家康の暗殺というドキドキするテーマが良い。
ドキドキ・わくわくしながら読める。
ぜひお薦めの1冊。