村山由佳の小説
村山由佳の小説
村山由佳の小説が好きだ。
彼女は、第129回直木賞受賞作家であるので、ご存知の方も多いと思う。
僕は、友人に薦められて「おいしいコーヒーの入れ方」シリーズを読み始めた。
このシリーズは、高校3年生の少年が、久しぶりに会った年上の従姉に想いを寄せるという、なんとも切なく純粋な恋の物語だ。
この小説を読んだ当時、僕は既に24歳であり当の昔に思春期を終えていたので、普通の陳腐な恋愛小説などを読んでも何も面白いとは感じなかっただろう。
しかし、村山由佳の小説は面白かった。
危うい男女の機微が見事に表現されている。
そして、あの懐かしい胸の痛みを思い出す・・・。
僕が読んだのは3作目までだ。
現在、第6作まで文庫化されている。
そして、このシリーズは現在進行形だ。
続編を随時読んでいこうと思う。
あなたにも、この素晴らしい甘酸っぱい胸の痛みを感じて欲しい。
以下に、僕の感想メモを記す。
著者紹介:
1964年東京都生まれ。
大学卒業後、会社勤務、塾講師などを経て、1993年「天使の卵~エンジェルス・エッグ」で第六回小説すばる新人賞を受賞。
2003年「星々の舟」で第129回直木賞を受賞。
キスまでの距離―おいしいコーヒーのいれ方〈1〉 1994 集英社
お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
内容紹介
年上の従姉・かれんに寄せる、 勝利の密やかな恋…。
高校3年になる春、父の転勤のため、 いとこ姉弟との同居するはめになった勝利。
そんな彼を驚かせたのは、 久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。
しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。
同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、 そんな哀しい想いに気づいてしまう。
守ってあげたい!
いつしかひとりの女性としてかれんを意識し始める勝利。
ピュアで真摯な恋の行方は…。
メモ
あ、純愛小説っていいものだな、と思った作品。
僕は最初の20ページで主人公になっていた。
ちょっと、胸が痛くていい気分だ。
僕らの夏―おいしいコーヒーのいれ方〈2〉 1996 集英社
お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
内容紹介
ハラハラドキドキ…。
ご存じ、かれんと勝利のあぶなっかしい恋物語。
5歳年上のいとこのかれんとその弟の丈と同居して1年。
大学生になった勝利の毎日は不安と焦りでいっぱい。
恋人でもあるかれんとの仲が、 なかなか進展しないからだ。
ファースト・キスを交わしたけれど、 かれんは本当に僕のことを好きなのだろうか?
強力なライバルの出現、 そして大学での新たな人間関係と、 勝利の心は休まる暇もない。
シリーズ第二弾。
かれんと勝利、ふたりの夏がはじまる!
メモ
主人公の奥手さがかわいらしい。
後ろから、背中をぽんと押してあげたくなる、そんな作品だ。
彼女の朝―おいしいコーヒーのいれ方〈3〉 1997 集英社
お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
内容紹介
「……今日は、鴨川にいない?」
蚊の鳴くような声で、かれんが言った……。
進展するとみえて、なかなか思うように進まない 勝利とかれんの「秘密の恋」。
互いの心が見えなくて、不安になったりもしたけれど。
そんな気分をすべて洗い流したくてふたりで来た鴨川。
思いっきり海ではしゃいだその帰り、 外房線の不通というアクシデントが。
「……今日は、鴨川にいない?」
消えるようなかれんの言葉の意味が、 ようやく理解できたとき勝利は――。
はじめての、ふたりだけの夜。
メモ
やっとここまで来たか、という作品。
彼がちょっとうらやましく思えた。